申し訳ないけど、蕎麦は食べないんだなあ。サイクリングで御岳を回っていた時、蕎麦屋
だらけだったが、やっぱり食べなかった。まあ、カロリーが少なすぎてね。サイクリング
とか、ハイキングの時に食べても、腹保ちが悪くて。例外的に食べる時は、天ぷら蕎麦で
すね。蕎麦の場合、お金とカロリーも無相関です。そう言えば、家で我が奥様が作ってく
れる時は食べます。この時はニシンの煮物と長いものすり下ろしを乗せたニシン蕎麦かな。
蕎麦なんかカロリーないものね。
後2年で定年なので、遊びほうけているんです。4年連続夏休みはアメリカでハイキングで
す。そう言えば、そのおかげで、ハイキングのハンドブックを新曜社から出版します。今、
最終校正中で、出版は来月かな。心理学の基礎とまったく無関係みたいですが、実は、今
度こそは、関係ができました。エルゴニクス、医学、被服学、栄養学関係の論文もすべて
目を通してから執筆したんです。そうすると、びっくり仰天。インソールと怪我のランダ
ム比較試験なんかがあります。そのくだりを引用しておきますね。
ウィスナルら\footnote{Withnall, R., Eastaugh, J.,,\& Freemantle, N. \ \ 2006 \ \
Do shock absorbing insoles in recruits undertaking high levels of physical
activity reduce lower limb injury? A randomized controlled trial.{ \it Journal
of the Royal Sociaty of Medecine}, 99, 32-37.} はイギリス空軍新入兵1205名にソルボ
(3ミリ厚)とポロン(発泡ポリエチレン3ミリ厚)とサラン(繊維でできた3ミリ厚)のインソー
ルをランダムに割当て、8ヶ月間の基礎訓練の後、下肢の傷害を調べた。結果は、靴に付属
の安物のサランと、他のインソールの間に差がなかった。
まあ、よくやるなと思います。8ヵ月の前向き縦断のランダム化比較研究です。心理学の方
法論は、心理学だけの方法論ではなく、実証科学共通の方法論だった訳です。だから、ど
の分野の論文を読んでも、怪我や疾病などのランダム化比較研究があります。
最終章で、環境心理学にも触れておきました。ちょっと引用しておきます。
自然体験が精神面に与える影響ではウルリッチのストレス低減説(stress reduction
theory: SRT)では、自然には癒やしの力があり、無意識的で、自動的な反応が起こるとい
う。典型的な癒やし場所は、地平線が見える水辺であるという。そのような場所は、古代
の人類にとって生存しやすく、今でも安らぎを与えるという。
もう一つは、カプラン\footnote{Kaplan, S. \ \ 1995 \ \ The restorative benefits
of nature: Toward an integrative framework. {\it Journal of Experimental
Psychology}, 1995, 15, 169-182.}の 注意回復説(attention restoration theory: ART)
である。それによると、意識的な注意を続けるには努力が必要なので疲労しやすいが、自
然に接すると無意識的な認知プロセスが引き起こされるので、注意力が疲労から回復する
という。
なにをやっても、人間が介在する限り、バックグラウンドに心理学が現れてきます。実証
となると、ランダム化比較研究です。特に前向き縦断研究が大事です。私は引退しますが、
心理学の人はこれから頑張ってほしいですね。
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村上宣寛
〒930-8555 富山市五福3190
富山大学人間発達科学部
TEL/FAX 076-445-6367
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