岡本@日本女子大学心理学科です。 >・・・いまや,統計的なデータを扱う場合に必須の道具 となっ >た感のある「R」を学びながら, と書かれているので、コメントしたくなりました。 統計の分野では、RからPythonに移りつつあると聞いています。 例えば、下記ウェブサイト http://readwrite.jp/archives/2534 に以下のように書かれています。 ====================================== これまでデータ・サイエンティストの選ぶプログラミング言語はRだったのだが、 急激にPythonに置き換わろうとしている。 このシフトの理由はいくつかあるようだが、 第一にはPython自体が汎用的で比較的学びやすい言語であるのに対し、 Rが習得するにあたってやや複雑であることがあげられるだろう。 ====================================== 汎用性が第1の理由の中に含められているのであれば、C++も汎用性のある言語で す。 「比較的学びやすい」という点に関しては、機能豊富なC++を実用上はどこまで理解 する 必要があるのかということになります。よく使う機能に絞れば、実用上必要なことを 学ぶのは容易であると思います。ただ、プログラミング言語とプログラムを学ぶ人と の 相性があるようです。これからプログラミングの勉強をしてみようという方は、 いろいろ試してみるのがいいと思います。 Windows上でのC++として、無償版がマイクロソフトのウェブサイト http://www.visualstudio.com/downloads/download-visual-studio-vs に用意されており、Visual Studio Express 2013 for Windows Desktop をダウンロード・インストールすることができます。 使用法の簡単な説明を http://y-okamoto-psy1949.la.coocan.jp/VCpp/StdCppVS/ http://y-okamoto-psy1949.la.coocan.jp/booksetc/introvcpp/vs2012FormApp/ に用意しています。 「Rによる統計学」というような本の出版がいろいろありますが、 「C++による統計学」とか「C++によるデータ分析」というような本も いろいろ用意されれば、C++に関心を持つ若い人が増えるかなと思っています。 横浜在住 岡本安晴 -----Original Message----- From: SHIBAYAMA, Tadashi [mailto:sibayama (at) sed.tohoku.ac.jp] Sent: Monday, August 04, 2014 12:39 PM To: fpr ML Subject: [fpr 3669] 書評:Rによる項目反応理論:加藤・山田・川端:オーム社 fprのみなさま 柴山@東北大学です。 初稿を読ませていただく機会があり,さらに,このたび出版されたものをあら ためて読み返してみても,やはり良い本と思いましたので, 「Rによる項目反応理論」, 加藤/山田/ 川端 (著) , オーム社 http://www.amazon.co.jp/R%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E9%A0%85%E7%9B%AE%E5% 8F%8D%E5%BF%9C%E7%90%86%E8%AB%96-%E5%8A%A0%E8%97%A4-%E5%81%A5%E5%A4%AA%E9%83 %8E/dp/4274050173 の書評を投稿します。 項目反応理論(IRT)はとにかくわかりにくい。いろんな場面でいろいろ説明を 工夫しても,「わからない」といわれることがたびたびです。わか りにくさの 原因は,モデルの理解にある程度の数理統計的な知識が必要なこと,顕在変量と 潜在変量も含めて心理学的なモデルビルド一般に通じる素養 (センス)が必要 なこと等々があるかと思います。 最近では,IRTモデルや母数推定などの話しには深く立ち入らずに,項目管理 技術の視点から,たとえば潜在変量としての能力分布がIRTモデル を介して顕在 変量としての得点分布を生み出すイメージなどで説明するように心がけていま す。具体的には,同じ能力分布であっても,診断目的や資格 試験目的なら,テ ストを作成する際には識別力の高い項目をある困難度付近に集中させることで, ふた山状の得点分布を生み出すことができ,山が分離 しているところでカッ ティングポイントを設ければ診断や資格の付与が可能となる。逆に,得点分布が 双峰形であっても,それはテストの特性でそう なっている可能性が高く,必ず しも測定したい能力分布がふた山になっているとはいえない: http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/098/shiryo/__icsFiles/afie ldfile/2013/10/21/1340623_3_1.pdf などといった感じです。 IRTモデルのわかりにくさのもう一つの原因は,座学だけではいまひとつ全体 像が飲み込めないところにもあるかなと思います。医療系大学間共用 試験: http://www.cato.umin.jp/index.html で使われているアイテムバンキングの考え方や,PISAなどで使われている調 査方法(=標本調査法+尺度等化+実験計画法+・・・): http://www.oecd.org/pisa/pisaproducts/pisa2009technicalreport.htm など,実践から必要に迫られて,IRTをベースに多種多様の工夫がなされている ため,大規模な実データを実際に扱ってみないとその工夫の意味がス トンと腑 に落ちないところがあります。 「Rによる項目反応理論」はまさにこうした読者の疑問に応えることができる テキストと思います。いまや,統計的なデータを扱う場合に必須の道具 となっ た感のある「R」を学びながら,具体的なデータに即して,かつIRTの数理統計的 な知識を具体的にビジュアルにかみ砕き,テストの開発・実 施・分析・報告に 実際に現場で関わってこられた3名の筆者が,そのエッセンスをRという手段で 表現したテキストといえるでしょう。 推薦のことばとしてまとめますと, 「Rに関する高度なテクニックを学びながら,次世代の心理・教育テストを支え る項目反応理論/IRTの最新の技術体系を深く理解し,実践的な知識 を的確に修 得できる,実に行き届いたテキストです。さらには,テストの開発から運用ま で,実際に直面するさまざまな課題を解決するための数多くの ヒントもこのテ キストから得られることでしょう。」 となるかと思います。 -- ------------------------------------------------------- 柴山 直 (SHIBAYAMA Tadashi) 東北大学大学院 教育学研究科 Tel 022-795-3738 教育設計評価専攻:http://www.sed.tohoku.ac.jp/grad/03chair/07.html 教員紹介:http://www.sed.tohoku.ac.jp/facul/05teacher/shibayama.htm -------------------------------------------------------
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