[fpr 3769] 再現可能性と統計的方法について:[fpr 3767] 『心理学評論』第59巻1号・特集「心理学の再現可能性」掲載予定論文(著者最終稿)早期公開のご案内

MIURA Asako

三浦です

早速お目通しをいただきありがとうございます.
大久保氏の原著論文,三中氏のコメント論文が,統計的方法論にもっとも関連するものです.
当然,無用だなどと考えているわけもなく,これからも日々勉強だと改めて感じている次第です.
なるべく多様な方法論をとる幅広い心理学研究者にと寄稿を依頼したことから,
こと統計的方法論について最先端の議論が尽くせたとはいえないところもございますが,
是非とも多くの方にご高覧を賜れればと考えております.よろしくお願いします.

2016年5月9日 12:45 Yasuharu Okamoto <okamotoy (at) fc.jwu.ac.jp>:
>
>  岡本安晴@日本女子大学です。
>
> 三浦さんのメールを読んで、
> 再現可能性と統計的方法について、本メーリングリスクでは蛇足的内容に
> なりますが、一応、少し書いておこうと思いました。
>
>  メールを読んだとき、統計的方法は無用だということなのかと
> 思いましたが、ダウンロードした「巻頭言」を読むと、
> 帰無仮説の検定(NHST)とp−値のことで、統計的方法全般を否定して
> いるのではないということが確認できました。統計分析の世界では、
> NHST及びp−値から、効果量およびベイズ的方法に切り替えることが
> 薦められています。NHSTの否定が、統計的方法の否定になるわけでは
> ありません。むしろ、ベイズ的方法の実用性の向上により、
> 統計的方法(計量心理学的方法)の有用性が高くなったと思われます。
>  再現可能性については、追試が行われるので、それでチェックされれば
> 科学的方法論としてはよいわけで、再現可能性が低いからといって、
> 統計的方法一般の否定に繋げるのは、論理的でないと思います。
> 社会心理学では、相関係数が0.3あれば十分という慣習があるように
> 思いますが、相関係数0.3は決定係数では0.1です。すなわち、1割しか
> 関係がない、9割は他の要因に影響されているということになります。
> この9割が何によって影響されているのか、追試の条件がこの9割の
> 部分の再現を保証するものでないならば、追試で先行研究の結果が
> 再現できなくても当然となります。社会心理学の場合、母集団の等価性などが
> どのように検討されているかというようなことが問題になります。
> あるいは、当該の変数と他の変数との階層的交互作用がある場合には
> データ収集および分析において、階層性がどのように扱われたか
> ということが問題になります。これらは、適切な統計的分析が
> 前提となる(必須となる)問題です。
>
> 巻頭言のタイトル
> 「心理学の再現可能性:我々はどこから来たのか
> 我々は何者か
> 我々はどこへ行くのか
> ─
> 特集号の刊行に寄せて
> ─」
> の副題
> 「我々はどこから来たのか。我々は何者か。我々はどこへ行くのか」
> における「我々」を「ヒト」に置き換えれば、進化論における
> 人と他の種との違いの議論になっていますが、人の特色として
> データに基づく客観的思考・判断力が挙げられています。
> このデータに基づく客観的思考・判断力は、データが複雑になれば
> 統計的方法論が必須になります。
>
> 心理学評論の刊行が統計的思考法の再認識になれば
> と思っております。
>
> 横浜市在住
> 岡本安晴
>
> -----Original Message-----
> From: yk581111 (at) gmail.com [mailto:yk581111 (at) gmail.com] On Behalf Of MIURA Asako
> Sent: Monday, May 9, 2016 7:14 AM
> To: fpr ML <fpr (at) psy.chubu.ac.jp>
> Subject: [fpr 3767] 『心理学評論』第59巻1号・特集「心理学の再現可能性」掲載予定論文(著者最終稿)早期公開のご案内
>
> fpr ML 各位
>
> 関西学院大学の三浦と申します.
>
> 標記の件について,ご案内を申し上げます.
> 多くの方にご高覧を賜れれば幸いです.
>
> *****
>
> 『心理学評論』第59巻1号・特集「心理学の再現可能性:我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」
> 掲載予定論文(著者最終稿)早期公開のご案内
> https://sites.google.com/site/sinpyo2016reproducibility/
>
> 2015年,Scienceに衝撃的な論文が掲載されました(Open Science Collaboration, 2015)。
> その内容は,過去の心理学の研究論文について追試を行った結果,結果が統計的に再現されたものは追試実験全体のうちの40%に満たないというものでした。
> また,2015年の年頭に出たBasic and Applied Social
> Psychology誌はそのエディトリアル記事で,今後一切統計的検定に関する記載を行わないと「高らかに」宣言して,
> 心理学のみならず幅広い研究者コミュニティの耳目を集めました(Trafimow, & Marks, 2015)。
>
> そして近年,心理学の領域においても,STAP細胞問題に近いようなデータの捏造・改ざんによる研究不正を犯す研究者すら出てきました。
> このこと自体,心理学界においてゆゆしき問題です。
> しかしかれらの行為を軽蔑する研究者たちも,意識するしないにかかわらず,さまざまな問題のある研究実践 (QRPs)に手を染めてはいないでしょうか。
>
> これらの問題に対する関心は今に始まったことではありませんが,ここ数年、研究者の側もこれらに対して自覚的になってきたというのも事実です。
> そこで,再現可能性,統計の問題,QRPsから研究不正まで,という相互に密接に関連しあうこれらの問題に対する現状の認識と展望について,忌憚のない議論を進めるべく本特集号を企画しました。
> これらの議論を通して,心理学が今よりさらに一歩前に前進するこ とを強く期待しています。
>
> 担当編集委員
> 友永雅己(京都大学霊長類研究所)・三浦麻子(関西学院大学文学部)・針生悦子(東京大学教育学部)
>
> 巻頭言:特集号に寄せて
> https://www.google.com/url?q=https%3A%2F%2Fwww.dropbox.com%2Fs%2Ftilig0gcaqxu49f%2Fsjpr59tomonaga_miura_haryu_accepted.pdf%3Fdl%3D0&sa=D&sntz=1&usg=AFrqEzdFvRhb9znWgxNOmW0HRuUeQFq6gw
>
> ●原著論文
> 池田功毅・平石界 (2016) 心理学における再現可能危機:問題の構造、現状と解決策
> 山田祐樹 (2016) 認知心理学における再現可能性の認知心理学
> 森口佑介 (2016) 発達科学が発達科学であるために
> 鮫島和行 (2016) システム神経科学における再現可能性
> 澤幸祐・栗原彬 (2016) 動物心理学における再現可能性の問題
> 大久保街亜 (2016) 再現可能性と心理統計
> 小塩真司 (2016) 心理尺度構成における再現可能性
> 藤島喜嗣・樋口匡貴 (2016) 社会心理学における“p-hacking”の実践例
> 渡邊芳之 (2016) 心理学のデータと再現可能性
>
> ●コメント論文
> 小島康生 (2016) 人間の観察研究における再現可能性の問題
> 松田一希 (2016) フィールド研究の再現性とは何か?
> 平井啓 (2016) 心理学研究におけるリサーチデザインの理想
> 三中信宏 (2016) 統計学の現場は一枚岩ではない
> 武田美亜 (2016) 再現可能性の問題から始める心理学研究の「バックヤードツアー」
> 東島仁 (2016)  研究公正から見た再現可能性問題
> 佐倉統 (2016) 科学的方法の多元性を擁護する
>
> このサイトでは,標記『心理学評論』特集号の公刊(2016年8月予定)に先だって,受理済の掲載予定論文の最終稿を,著者の了解のもとで,担当編集委員の責任において,私的に公開しています。
> ダウンロードや印刷は可能ですが,内容の編集やテキスト引用はできません。
> 本誌刊行後はこのサイトでのPDF提供を終了します。本特集号論文のPDFはオープンアクセスですので,是非改めてそちらをダウンロードして下さい。
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> 各■■所 関西学院大学 文学部総合心理科学科 / 社会心理学研究センター
> ■麻三■ 〒662-8501 西宮市上ケ原一番町1-155 TEL/FAX 0798-54-4543
> ■子浦■ E-mail asarin (at) kwansei.ac.jp
> 全■■力  Official Site: http://asarin.team1mile.com/ http://www.kg-rcsp.com/
> --
> Asako Miura, Ph.D.
> Department of Psychological Science/Research Center for Social Psychology Kwansei Gakuin University
> E-mail: asarin (at) kwansei.ac.jp
> Twitter:  (at) asarin



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