岡本@日本女子大学心理学科です。 先にfprに投稿したものの反応が遅いので、アドレスを変更して 再投稿しました。2重投稿になってしまった場合は、御容赦ください。 行動計量学会のメーリングリストに、講演会/ワークショップの 案内が流され、そこに 「心理学の危機」 という言葉が書かれていました。 心理学といっても、社会心理学が想定されているようですが、 そこに挙げられている参考文献 池田・平石, 2016 in 心理学評論特集号 (これは、心理学評論のウェブサイトから無料で ダウンロードできました) を読むと、社会心理学に限られているわけでもないようです。 本メーリングリストに、私見を投稿しても許されるかと思い、 投稿した次第です 取り上げられている「(社会)心理学の危機」は、池田・平石論文を 読むと、基本的に良心の問題であるとの印象をもちました。 ある程度の経験があれば、素データを見て、検討が付くはずです。 良心が機能しないということは、これは社会システムの問題です。 社会システムに良心が機能しない問題があれば、制度を改革しても 抜け道が探され、イタチごっこになります。 研究の方法的あるいは技術的問題としては、 (社会)心理学の理論は決定論的でない現象を扱うのが普通である ということの認識が挙げられます。追試についていえば、 追試が成功する確率が考慮されていないということがあります。 これは、ベイズ的に事後予測として 「追試が成功する確率」 を報告することを投稿者に求めれば、かなり事態はよくなると 思います。追試の成功確率がある程度高ければ(例えば、80%以上) よいのですが、追試の成功確率が低いときは、単なる成功確率 だけではなく、効用を考慮した判断も必要になると思います。 事後期待効用がなんらかの基準に基づいて十分高い、 あるいは低くないと判断されれば、採択の可能性も高くなると 考えられます。 いずれにしても、確率的現象を扱う研究であれば、研究成果事態の 評価も確率論/統計学をベースに行われる必要があります。 単に編集システムをいじるのではなく、統計学の現時点における技術を 活用し、各投稿論文に反映されることを求める必要もあると思います。 横浜市在住 岡本安晴
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