平成30年度の東京都教員採用試験の「教職教養」の問題は不適切なのでは、という問題提起です。 差別用語とか、ステレオタイプとかではなく、「データの読み取り」に関する不適切さなので、こちらの皆様のお目に入れたいと考えた次第です。興味のない方は、無視してください。 東京都教育委員会がウェブで公開している平成30年度(実施は昨年度)教員採用試験の「教職教養」の問題のうちの当該一問を私のウェブページに置きました。「キャリア教育・進路指導」に関する出題ですが、基本的にはグラフの読み取りの問題です。http://www.avis.ne.jp/~uriuri/kaz/TEB2017[13].pdf 「生徒指導・進路指導研究センター(国立教育政策研究所内にあるらしい)」が実施した調査(平成25年)の一部がレーダーグラフで示され、それを適切に読み取れるかどうかを問う問題です。 調査は、小学校中学校高等学校という3校種で実施され、 それぞれの質問項目について、児童生徒、教員、保護者が回答したものです。 (調査の詳細は、国立教育政策研究所のウェブに公開されています。) 解答の選択肢は5つで、「4」が正答とされています。 選択肢のうち、「2」「3」「5」は数値の読み取り自体を間違っているので、明らかに間違いとわかります。 選択肢の「1」と「4」はデータは間違いなく読み取っていますが、その解釈が不適切なものです。 都教育委員会が「4」を正答としていることから、都は「解釈は正しい」と考えていることになります。 ご覧いただいて、この解釈が正しいか、コメントをいただけると幸いです。 なお、設問は「最も適切なものを選べ」となっていますので、 【「4」は「不適切ではあるが、一番マシ」である(相対的に最も適切)】 という意味で、論理的には間違っていないのかもしれません。 しかし、都の教育の将来を担う教員採用試験にそんな設問がふさわしいとは思えません。 --------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 守 一雄@390-1295松本大学教育学部(これだけで郵便が届きます。) 電話 0263-48-7200 『DOHC』『KRproject』主催者 http://www.avis.ne.jp/~uriuri/kaz/ 最近の著書: 『中学生の数学嫌いは本当なのか』北大路書房(2018) http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784762830150 最近の論文10件(抜粋): http://dx.doi.org/10.4236/jss.2018.61001 <--黒人とサンボに対する日本人の潜在的態度(2018)--NEW-- http://rdcu.be/sZtH <--偽装数学嫌い(2017) http://dx.doi.org/10.2466/11.07.PR0.117c22z4 <--自己効力感と代理経験(2015) http://dx.doi.org/10.4236/psych.2014.515177 <--自尊心の低い目撃者は同調しやすい(2014) http://dx.doi.org/10.2466/24.22.PMS.118k22w4 <--耳撃者の記憶変容(2014) http://dx.doi.org/10.2466/24.50.PMS.116.2.466-471 <--笑えばみんなハッピー(2013) https://doi.org/10.7227/RIE.87.1.5 <--先頭集団効果:成績中位生の見かけ上の成績低下現象(2012) http://dx.doi.org/10.4236/psych.2012.31005 <--幼児の目撃記憶と同調(2012) http://dx.doi.org/10.1080/00207591003774485 <--サクラなしのアッシュ同調実験の再現(2010) http://dx.doi.org/10.7227/RIE.82.5 <--成功経験による自己効力感向上(2009) ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
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