お返事ありがとうございました。 せっかく、fprMLにccしているのに、MLが機能しないのは、 佐藤さんのメールがリッチテキストで書かれているからだと気付きました。 私のような高齢パソコンユーザは、それこそ「パソコン通信」と呼ばれていた時代から使っているので、 メールはプレーンテキストが当たり前で、 このMLが作られた時代もそうでしたので、 エラーメールにも「添付ファイルはダメ」と書かれているだけで「リッチテキストはダメ」とは書かれていません。 さて、本論ですが、回答選択肢の不適切さをご理解いただきありがとうございます。 ただ、「の」の有無程度で改善されるとは思いません。 主張と根拠、および論証という、論理の基本のようなところを出題者がわかっていないのではないかと思います。 実は、あちこちに文句をつけるのはやりすぎかと思い、[13]だけについて書きましたが、 [12]には資料の一部を意図的に削除している問題点があります。 (引用元の調査は3年分公開されているのですが、そのうちの2年分だけを問題に使っています。 「正答」とされる選択肢は、3年分の調査結果を見ると不正解になってしまうものです。) [19]も、正答の選択肢には「言及する必要のないことで、わざわざ理解しにくくしている」という問題点があります。 2017年度分のうち、心理学に関わるものをいくつか見ただけで、ボロボロ問題点が見つかるのですから、 そうとう根深い問題なのだと思います。 東京都教育委員会への直接の問い合わせや異議申立ても考えましたが、そこまでやる気力はありません。 ただ、採用試験の対策や問題解説をしている時事通信社には問い合わせのメールをしました。(まだ何の反応もありません。) > 2018/05/23 18:55、wanzerbusi (at) yahoo.co.jpのメール: > > 守様 > お世話様です。 > 丁寧なコメントありがとうございました。 > > > >自明と思いましたが、 > (日本語の体裁、問題文の端麗さに惑わされて)小生には見抜けませんでしたけれども、 > 詳細な解説を精読して、なるほど納得致しました。 > > > 後だしじゃんけんみたいで恐縮ですが、 > 当該選択肢は出題者の意図になんとなく回答者を誘導しているような気を小生が感じておりました。 > しかしそんなのはセンター国語の現代文やセンター数学を引き合いに出すまでもなく、 > テストという形態においては日常茶飯事なので、小生は特に気にしておりませんでした。 > > > あとで気が付きましたが、改めて解析しますとこの一語が余計ですね。 > > > >小学校から<の>「キャリアプランニング能力」の育成に関する指導の充実が必要と考えられる。 > > > この<の>が強烈に出題者の意図を醸し出しています。 > > > 上記文章では > (このことから、)「キャリアプランニング能力」の育成に関する指導の充実が、小学校から必要と考えられる。 > (一部、わかりやすく語順をあえて変更しましたが、日本語としての意味、文脈は大きく変わっていないはず。。。) > > > これでも回答の意味、問題としての意味、文脈は通ります。 > しかし出題者の意図では無いのでしょう。恐らくレビュー時に<の>を付け加えたと考えます。 > > > <の>があるとないとでは > ■小学校から「キャリアプランニング能力」の育成に関する指導の充実が必要と考えられる。 > ⇒途中で中断しているかもしれません。中断していても咎められません。 > (=くだけた表現するなら、いやあ小学校でやったけど、中学校ではやってないよ許してテヘペロ。 > だって小学校でさえやればいいんでしょう。ということが悪意の解釈で成り立つ。) > ■小学校から<の>「キャリアプランニング能力」の育成に関する指導の充実が必要と考えられる。 > ⇒小学校から「継続して」中学校、高等学校で指導を行います。この<の>があることにより、 > (指導の)継続性を含意してしまいます。 > > > この事からデータの解釈を一意的に出題者の意図へ誘導している点、かつ、守様ご指摘通り、よくよく考えますと、 > >事象A:キャリア教育は小学校、中学校、高校となるに従って指導が増している > >主張B:キャリア教育を小学校から充実させるべきである > 事象Aと主張Bに何ら関連性が無い点において、この問題は不適当ということですね! > (もし関連性があるなら 事象A だから 主張B の日本語が成り立つが、この文章においては成り立たない。。。) > > > しかし……、私見ですが、ほとんどの回答者は、張りつめた試験環境(しかも、自身の一生がかかっている…)の中で、 > このような論理の不整合に恐らく気が付かないかと思います。 > ほとんどの試験では悲しいことに、出題者の意図にきちんと沿った回答が求められております。 > (その最たる例がセンター試験であることはもはや言うまでもありません。) > 小生はそこまで不適切な問題、とは一見して思いませんでしたが、守様がせっかく発見されたのですから、 > このままにしておくのはもったいないかと思います。 > この先の展開として、よくあるのは、東京都教育委員会(で良いかどうかは分かりませんが、)に公開質問状を送付する、といった方法です。 > ##大手予備校が大学入試センターによく投げつけているように > > > こういうのはえてして、後から問題になるのですよね。。。 > 大学入試センター試験の一個人研究者としては痛いほどよく分かります。 > > > 佐藤 > > ----- Original Message ----- >> From: 守 一雄 <kazuo.mori (at) t.matsu.ac.jp> >> To: "fpr (at) psy.chubu.ac.jp" <fpr (at) psy.chubu.ac.jp> >> Cc: 守 一雄 <kazuo.mori (at) t.matsu.ac.jp>; "wanzerbusi (at) yahoo.co.jp" <wanzerbusi (at) yahoo.co.jp> >> Date: 2018/5/23, Wed 16:36 >> Subject: Re: 東京都の教員採用試験過去問 >> >> >> 佐藤さま:守です。 >> >> >> コメントありがとうございました。 >> 10分ほど待ちましたが、fprのメーリングリストからのメールが来ないので、 >> このメールをfpr (at) psy.chubu.ac.jpに出すことにしました。 >> >> >> 「正答」とされる選択肢4が、なぜどのように不適切なのかを説明すべし、ということですね。 >> 自明と思いましたが、説明を試みます。 >> >> >> 長たらしい用語が多いので、説明を簡潔にするため、「キャリア教育」と略称します。 >> 番号を付けましたが、順序性があるわけではありません。後で、言及しやすいようにくらいの意味づけです。 >> >> >> 1)不適切なのは、調査結果が示す事象Aが、選択肢に述べられている必要性の主張Bの根拠にならないことです。 >> 事象A:キャリア教育は小学校、中学校、高校となるに従って指導が増している >> 主張B:キャリア教育を小学校から充実させるべきである >> >> >> 2)主張Bしか頭にないと、事象Aが主張Bの根拠になるように見えてしまいます。調査を行なった「進路指導研究センター」はまさに、キャリア教育を推進したい人の集まりですから、事象Aが自分たちの主張を裏付けるデータに見えると思います。「小学校ではまだほとんどキャリア教育がなされていない。だから、もっとキャリア教育を充実させるべきだ」というわけです。 >> >> >> 3)しかし、以下の主張Cの立場からも、事象Aは主張を支える根拠となりえます。 >> 主張C:キャリア教育は小中高と発達段階に合わせて徐々に行なっていくべきである >> (この主張は逆に言うと「小学校ではキャリア教育よりも基礎的な読み書き計算をしっかり指導すべきである」となるでしょう。)主張Cの立場から言えば、現状は自分たちの主張を裏付けるものです。「キャリア教育は小中高と上の学校にいくほど指導が重視されている。このように、キャリア教育は児童生徒の発達段階に合わせてなされるべきなのだ」というわけです。 >> >> >> 4)重要なことは、事象Aは主張Bの根拠にも主張Cの根拠にもならないことです。両方の主張の根拠になることはどちらの根拠にもなりません。つまり、事象Aを調査結果から読み取って、主張Bに結びつけるのは間違いであるということになります。 >> >> >> 5)なお、前メールにも書きましたが、「4」が相対的に一番マシなものであることには異議を唱えません。 >> なお、設問は「最も適切なものを選べ」となっていますので、 >>> 【「4」は「不適切ではあるが、一番マシ」である(相対的に最も適切)】 >>> という意味で、論理的には間違っていないのかもしれません。 >>> しかし、都の教育の将来を担う教員採用試験にそんな設問がふさわしいとは思えません。 >> >> >> >> >> >> 2018/05/23 15:53、wanzerbusi (at) yahoo.co.jpのメール: >>> >>> 守様 >>> >>> お世話様です。 >>> もと、教育学部、専攻は情報教育、そして大学入試センター試験を15年間個人的に研究している者です。 >>> >>> さて、守様のご指摘の件、小生なりに改めて解釈しました。 >>> 東京都には縁もゆかりもなく、擁護する気もないのですが、 >>> 問題の構造としては、不適当な要素は見当たらない、というのが小生の所感です。 >>> >>> ただし、選択肢の日本語に問題があるのは、いまさら指摘するまでもないでしょう。 >>> >>> 1 >>> 小学校、中学校、高等学校の「自分の果たすべき役割や分担を考え、周囲の人と力を合わせ >>> て行動しようとすること」についての、児童生徒調査の回答を比較すると、全ての校種につい >>> て「ほぼ」同じ割合である。<このことから、中学校で身に付けた「情報活用能力」を高等学校でさ >>> らに伸ばす指導を行うことが重要であると考えられる。> >>> (分かりやすくするために「」および<>を小生にて付した。) >>> >>> この選択肢がデータの読み取りにおいて不適当な理由はいうまでもありませんが、 >>> 「ほぼ」という個人の解釈に依存するファジー、つまり曖昧な言葉を使っているからこそ、 >>> データの読み取りの問題としては不適切というのは分かります。 >>> しかし、情報教育専攻者からしても、前段及びグラフから、<>部の結論と読み取ることが全く出来ず、 >>> <>部は(正しいかもしれないが)いわば問題に書いて無い事を、選択肢に書いて不適切にしている >>> よくあるパターンの問題であると推察されます。目くじらを立てるほどの事ではないかと思います。 >>> >>> >>> 一方 >>> >>> 4 >>> 小学校、中学校、高等学校の「自分の将来の目標の実現に向かって具体的に行動したり、そ >>> の方法を工夫・改善したりすること」についての、担任調査の回答を比較すると、<小学校、中 >>> 学校、高等学校の順に、回答した割合が高く>なっている。このことから、小学校からの「キャ >>> リアプランニング能力」の育成に関する指導の充実が必要と考えられる。 >>> (分かりやすくするために<>を小生にて付した。) >>> >>> <>部の解釈が微妙なところですが、日本語としては問題無い部類でしょう。 >>> また、全体の日本語としても納得できる話であり、確認の為にキャリアプランニングについて、 >>> ざっと調査したところ、 >>> >>> >キャリアプランニングとは、キャリア(職業履歴)のライフプランニングを行うことです。 >>> >将来の目標やゴールを決め、それを実現するための計画を意味しています。 >>> <https://careerpark.jp/19191> >>> >>> とあり、 >>> >>> 自分の将来の目標の実現に向かって具体的に行動したり、その方法を工夫・改善したりすること >>> >>> が、 >>> >>> 将来の目標やゴールを決め、それを実現するための計画 >>> >>> に対応するので、後半部の結論として、日本語としては、まあ、問題無いでしょう。 >>> >>> 守様が問題の一文一句を解析し、 >>> 「平成30年度の東京都教員採用試験の「教職教養」の問題」(及びその解釈)は >>> どこをどのようにして不適切なのでは、とした根拠を、 >>> 守様がどのように解釈したかを具体的にお示しにいただかないと、 >>> 現時点で小生には、作問者に対し、いたずらに食って掛かっているようにしか、解釈出来ません。 >>> なお、グラフの解釈、結論は人それぞれだから、そもそもこうした問題が成り立たない、 >>> というちゃぶ台返しだけはおやめください、これは先に退路を断たせていただきます。 >>> >>> 以上、具体的なご返信、ご投稿をお待ち申し上げます。 >>> >>> 佐藤 >>> >>> >>> -----Original Message----- >>> From: 守 一雄 [mailto:kazuo.mori (at) t.matsu.ac.jp] >>> Sent: Monday, May 21, 2018 9:16 PM >>> To: fpr ML >>> Cc: 守 一雄 >>> Subject: [fpr 3894] 東京都の教員採用試験過去問 >>> >>> みなさま、お久しぶりです。守@松本大学教育学部です。 >>> >>> 平成30年度の東京都教員採用試験の「教職教養」の問題は不適切なのでは、という問題提起です。 >>> 差別用語とか、ステレオタイプとかではなく、「データの読み取り」に関する不適切さなので、こちらの皆様のお目に入れたいと考えた次第です。興味のない方は、無視してください。 >>> >>> 東京都教育委員会がウェブで公開している平成30年度(実施は昨年度)教員採用試験の「教職教養」の問題のうちの当該一問を私のウェブページに置きました。「キャリア教育・進路指導」に関する出題ですが、基本的にはグラフの読み取りの問題です。http://www.avis.ne.jp/~uriuri/kaz/TEB2017[13].pdf >>> >>> 「生徒指導・進路指導研究センター(国立教育政策研究所内にあるらしい)」が実施した調査(平成25年)の一部がレーダーグラフで示され、それを適切に読み取れるかどうかを問う問題です。 >>> 調査は、小学校中学校高等学校という3校種で実施され、 >>> それぞれの質問項目について、児童生徒、教員、保護者が回答したものです。 >>> (調査の詳細は、国立教育政策研究所のウェブに公開されています。) >>> >>> 解答の選択肢は5つで、「4」が正答とされています。 >>> 選択肢のうち、「2」「3」「5」は数値の読み取り自体を間違っているので、明らかに間違いとわかります。 >>> 選択肢の「1」と「4」はデータは間違いなく読み取っていますが、その解釈が不適切なものです。 >>> 都教育委員会が「4」を正答としていることから、都は「解釈は正しい」と考えていることになります。 >>> >>> ご覧いただいて、この解釈が正しいか、コメントをいただけると幸いです。 >>> なお、設問は「最も適切なものを選べ」となっていますので、 >>> 【「4」は「不適切ではあるが、一番マシ」である(相対的に最も適切)】 >>> という意味で、論理的には間違っていないのかもしれません。 >>> しかし、都の教育の将来を担う教員採用試験にそんな設問がふさわしいとは思えません。 >>> >>> --------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- >>> 守 一雄@390-1295松本大学教育学部(これだけで郵便が届きます。) >>> 電話 0263-48-7200 >>> 『DOHC』『KRproject』主催者 >>> http://www.avis.ne.jp/~uriuri/kaz/ >>> >>> 最近の著書: >>> 『中学生の数学嫌いは本当なのか』北大路書房(2018) >>> http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784762830150 >>> 最近の論文10件(抜粋): >>> http://dx.doi.org/10.4236/jss.2018.61001 >>> <--黒人とサンボに対する日本人の潜在的態度(2018)--NEW-- >>> http://rdcu.be/sZtH <--偽装数学嫌い(2017) >>> http://dx.doi.org/10.2466/11.07.PR0.117c22z4 <--自己効力感と代理経験(2015) >>> http://dx.doi.org/10.4236/psych.2014.515177 >>> <--自尊心の低い目撃者は同調しやすい(2014) >>> http://dx.doi.org/10.2466/24.22.PMS.118k22w4 <--耳撃者の記憶変容(2014) >>> http://dx.doi.org/10.2466/24.50.PMS.116.2.466-471 >>> <--笑えばみんなハッピー(2013) >>> https://doi.org/10.7227/RIE.87.1.5 >>> <--先頭集団効果:成績中位生の見かけ上の成績低下現象(2012) >>> http://dx.doi.org/10.4236/psych.2012.31005 <--幼児の目撃記憶と同調(2012) >>> http://dx.doi.org/10.1080/00207591003774485 >>> <--サクラなしのアッシュ同調実験の再現(2010) >>> http://dx.doi.org/10.7227/RIE.82.5 <--成功経験による自己効力感向上(2009) >>> --------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- >> >> >>
ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。