岡本@(日本女子大学定年退職)です。 >単なるラベル上の問題であって,本質的なことではなく,実用上はどちらでもよ >いのかもしれませんが とありますが、心理学の現状の問題点を反映していると思います。 「実用上」というのは、現場の人たちは尺度を重要視していない という現実があるのでしょうか。 以前、医者からいろいろな心理検査をこれやっといてくれと 言われるが、心理尺度としての問題があっても、医者から言われたら、 そのままやるしかないと聞いたことがあります。心理検査の実施は、 ラポールをとるための一手段としての側面が強いと感じました。 これでは、心理尺度はますますその重要性が損なわれていきます。 この心理尺度の科学的価値付の低さは、信頼性係数の扱いにも 現れています。心理学研究の2014年度版における信頼性係数は 全てアルファ係数です(http://id.nii.ac.jp/1133/00002618/ p. 121)。アルファ係数は問題があることが長く指摘され続けている ことであり、それにも関わらず心理学研究掲載の論文では全て アルファ係数が用いられているということは、編集委員会が アルファ係数でよいと公認しているということです。 尺度水準は、スティーブンスンが重要視した問題です。 なぜ、スティーブンスンが尺度の問題を重要視したかというと 心理学が科学であるための重要な問題であると考えたからです。 心理学が科学であるために、尺度と統計分析の問題は 重要であると考えます。 統計分析も、 統計学は心理学において重要ではない ーー> 理解できるように苦労して勉強する必要性はない ーー> 手抜き勉強 ーー> 統計学は難しくてわからないとしておく ーー> わからないから重要ではない(わからなくても臨床できる) という悪循環があれば心理学にとって不幸なことと思います。 統計学は心理学において重要である ーー> 理解できるように勉強しなければならない ーー> 勉強する ーー> 統計学がわかる ーー> Evidence Based Psychologyがわかる という良い循環が必要です。 横浜市在住 岡本安晴 -----Original Message----- From: OkadaTsutomu [mailto:tokada (at) staff.kanazawa-u.ac.jp] Sent: Friday, September 7, 2018 7:52 AM To: fpr ML <fpr (at) psy.chubu.ac.jp> Subject: [fpr 3908] Re: 順序尺度は量的変数?質的変数? 芝・南風原の部分が,これだとなんだかわからない書き方になっていますね。 訂正します。 芝・南風原「行動科学における統計解析法」(東京大学出版)p3では 質的変数=名義尺度 量的変数=比尺度・間隔尺度・順序尺度 という分類になっています。 >岡田@金沢大学です。 >公認心理師の試験が近づいています。(私自身は受験しないのですが)ある問題 >集に順序尺度は質的変数であるという回答例が示されていたことから,周囲で >「あれ?そうだったのか?」と話題になっております。 > >手元のいくつかの統計の教科書を見てみるとこのようになっています。 >芝・南風原「行動科学における統計解析法」(東京大学出版)p3では >質的変数=名義尺度,比尺度,間隔尺度,順序尺度=量的変数 >さらに >比尺度と間隔尺度=計量データ,順序尺度と名義尺度=非計量データ >と記されています。 >いっぽう >森・吉田(編著)「心理学のためのデータ解析テクニカルブック」(北大路書 >房)p5では,順序尺度と名義尺度=質的データ,間隔尺度と比率尺度=量的 >データ,となっており >繁桝・柳井・森(編著)「Q&Aで知る統計データ解析」第2版(サイエンス社)p >4でも名義尺度と順序尺度=質的データ,間隔尺度と比尺度=量的データ と記 >述されています。 > >はたしてどれが正解なのでしょう? >「質的データ」と「質的変数」では違うということなのでしょうか? > >単なるラベル上の問題であって,本質的なことではなく,実用上はどちらでもよ >いのかもしれませんが「資格試験」にかかわってくると,どれが正解かが確定し >ないと混乱するかもしれませんね。 >
ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。