昨日、日本テスト学会に参加しました。2020年の入試改革関連の シンポジュームを拝見し、文部省をオーナーと見た時に テスト理論の専門家はどうかかわれば良いかを考えているときに、 日ごろの自分の考えをfprに書いてみたくなりました。 エッセイみたいなものなので、 サブジェクトに興味のある方だけお読み下さい。 データサイエンティスト(DS)がプロジェクトの中で 力を発揮し、仕事をくれたオーナーとwinwinの関係に なるために、私がいつも心掛けていることを書いてみます。 仕事をくれるのは統計学の非専門家で そのプロジェクトの最終判断(責任)をもつオーナーです。 志村けん演じるバカ殿をイメージしてください。 志村殿は「ああなったらいいなー」「こうなったらイイナー」 と統計学的観点からはムチャクチャなこと(要求)を言います。 ここで統計家として「それはできません」「なりません」 「間違っています」と桑野信義演じる家老のようなことを 決して言ってはいけません。コントと同じように 「桑野、お前の言うことはつまらん、下がれ」と言われて しまいます。ジエンド。DSの影響力はゼロです。 DSは統計学原理主義者(テスト理論原理主義者) のレッテルを張られると、早晩、プロジェクトから 桑野家老のように退場させられます。 というより専門家のくせに 「できません。ダメです。間違っています」と 言い続ける自分を恥ずべきなのです。 技術者なら解決してナンボです。 データ分析者は、自分が思ってるよりプロジェクトの中での 最初の地位はずっと、ずーっと低いのです。 ではどうすればよいか。田代まさし演じる家老のように徹底的に 殿のアホに付き合うのです。 オーナーは統計学の非専門家だけれども 非専門家だからこそ、常識の枠を離れた理想を語ります。 その理想は、見方を変えると、専門にとらわれない 良質な研究テーマであることが多いのです。 その理想を自分の持てる技術を尽くして全力で実現するのです。 もし1つでも2つでもそれが実現できれば、オーナーは 「このDSは魔法の杖をもっている」と思ってくれます。 そうなればしめたものです。 プロジェクトの中でのDSとしての地位は固まります。 そのあとであれば桑野家老のような御注進をしても オーナーに聞く耳を持ってもらえます(この順番が大切)。 DSもそのテーマで論文を書くことができます。winwinです。 (もちろん論文を書くためにはオーナーの許可がいりますが それはテーマが大きくなるので、また、いずれ別の講釈にて。。。) 私はオーナーをバカ殿に例えましたが、 それは非統計家という意味であって 決してバカになどしていません。 むしろ当該分野では経営者や官僚など極めて優秀で、 こころから尊敬しています。彼らは社会や経済をよく知っていて 社会全体からみたら、統計家である私の方が専門バカです。 私は彼らから、とてもたくさんのことを教えてもらっています。 -- ------------------------------------------------------------------------------ TOYODA Hideki Ph.D., Professor, Department of Psychology TEL +81-3-5286-3567 School of Humanities and Social Sciences, Waseda University toyoda _atmark_ waseda.jp 1-24-1 Toyama Shinjyuku-ku, Tokyo 162-8644 Japan http://www.waseda.jp/sem-toyoda-lab/ ------------------------------------------------------------------------------
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