『パーソナリティ研究』の新たな挑戦 —追試研究と事前登録研究の掲載について 加藤 司 https://www.jstage.jst.go.jp/article/personality/27/2/27_27.2.11/_article/-char/ja/ を目にしました。画期的な試みです。加藤氏・渡邊氏と当該学会に 最大級の賛辞とエールをおくります。もちろん完璧とはいえませんが、 まず「始めた」という行為自体が、何にもまして素晴らしいです。 たくさんコメントしたいことはありますが、「言うは易し行うは難し」で、 いろいろ言って戦意を喪失させてはいけないので1つにだけ絞ってコメント します。 13.1.1. 標本サイズの決定 にて 「標本サイズの決定に際して多様な方法を認める。」と述べています。 有意性検定をするなら、目標とする効果量と検定力を明示し、Nを算出して、 事前登録すべきです。その一択です。 学界の構成者が全員善意の人であったとしても、 「神の見えざる手(文献)」によって、統計的に有意でも心理学的には無意味 なレベルに、現時点ですでに、nは膨れ上がっています。先行研究を踏襲するような 意味でnの事前登録を認めると、事前登録の効果が棄損されます。ベムのように 高度に有意でも心理学的に無意味な論文を排除できなくなります。 (あくまでも有意性検定をするならですが) 検定力分析による意味のあるnの事前登録は必須ではないでしょうか。 くりかえしになりますが、「言うは易し行うは難し」は強調したいです。 事前登録を始めるという英断に感動しています。 他の学会が続くことを希求します。 文献 豊田秀樹(2018) p 値を使って学術論文を書くのは止めよう 心理学評論 第60巻 379-390. -- ------------------------------------------------------------------------------ TOYODA Hideki Ph.D., Professor, Department of Psychology TEL +81-3-5286-3567 School of Humanities and Social Sciences, Waseda University toyoda _atmark_ waseda.jp 1-24-1 Toyama Shinjyuku-ku, Tokyo 162-8644 Japan http://www.waseda.jp/sem-toyoda-lab/ ------------------------------------------------------------------------------
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