[fpr 3369] 統計分析の多重性

南風原朝和

豊田さん,岡本さん,fprの皆様

■ 豊田さんから:

> 大切なのは、当該実質科学分野における実質差なので
> その研究者が必要と考える実質差において、適度な検定力
> があれば、どの方法でもよいと、
> (実質差を、研究者が自覚することがまず大切であり、
> 検定力が高い方法を探すことに力を注ぐのではなく)
> かりに検定力が低い傾向のある手法でも有意差になるような、
> 実質差のある(効果量の大きな)実験を計画することが、
> もっとも重要だと2年生向けの授業では力説してます。

検定力の高いデザインや分析法は,より精度の高い(信頼区間の狭
い)推定につながりますので,効果量の実質的な大きさに注目する
ときには,いっそう大事になってくると思います。

■ 岡本さんから:

>  もっとも、ゼミでベイズ的分析法というのを説明することがあったのですが、
> このときはt検定よりわかりやすいという学生さんの反応でした。心理学会の
> 統計分析のデファクトスタンダードが、ネイマン=ピアソン理論からベイズ的分析に
> 変われば、授業はやりやすくなるのかなと、ふと思いました。学生としては
> 5%という天の声より、事後分布の比較の方がグラフィカルで直感的に
> 了解しやすいということだったようです。

p値を,「差があるとした判断が誤りである確率」のように事後確
率的に解釈する誤りが根強いことからも,私たちの思考は帰無仮説
の検定よりもベイズ的な事後確率のほうと,より親近性が高いとい
うことは言えると思います。

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南風原朝和  haebara (at) p.u-tokyo.ac.jp


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