[fpr 3392] 天井効果と床効果

Hirotaka Onishi

大西弘高@東大医学教育センターと申します.

南風原先生,非常に興味深い話題の提供ありがとうございます.
例えば,x5というような別の変数を考えてみました.

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x5: 5, 5, 5, 5, 5,  5, 5, 5, 5, 4
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という5が9個,4が1個からなるような結果が得られたとします.

このような結果は,質問紙で回答者の性向が一方に偏ったとき,
あるいは評価でほとんどの学生に正答してほしい項目を作った
ときなどに比較的よくみられます.

ちなみに,平均は4.9,標本標準偏差は0.32なので,同様に天井
効果の一つの基準を満たしています.

心理測定の観点では,このような回答者・学習者の分離能力の
低い項目は「悪い項目」とみる傾向がかなり強いように感じて
います.

しかし,教育測定において同様に天井効果の問題を扱っていくと
「評価でほとんどの学生に正答してほしい項目」を削除すべしと
いう観点で評価項目を選別せざるを得なくなります.

橋本重治氏の「到達度評価の研究」という書籍において,この
ような観点自体に警鐘が鳴らされていたことを思い出しました.

なので,回答者,学習者の分離を目的にした測定なのかどうか
という点が示されていないと,天井効果,床効果について吟味
する意義自体が不明瞭なのだと思っています.

大西弘高
東京大学医学教育国際協力研究センター
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 医学部総合中央館2F
tel: +81-3-5841-3534
email: onishi-hirotaka (at) umin.ac.jp






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